日々のスキンケアの中で「保湿」を心がけている人は多いと思います。皮膚の水分量は基本的に皮脂、NMF（天然保湿因子）、細胞間脂質によって一定に保たれています。一方で、肌の水分量は年齢と共に減少していくので、年齢を重ねるごとに肌が乾燥しやすくなります。そのため、保湿成分の特徴を知ることは肌の乾燥を防ぐために重要であると考えられます。
保湿成分の特徴
肌に水だけをつけても蒸発してしまうため、化粧品には水分を保持するために保湿成分が配合されています。
保湿成分の特徴として水分子と同じ極性分子であることが挙げられます。
保湿成分は水と同じ極性分子（分子内で電荷に隔たりがある物質）であるため、水と結合し保湿することができます。
水や保湿成分などの物質を構成している最小の粒子を原子と言います。
原子を構成する粒子の内、マイナスの電気を持つ粒子を電子と言います。
水は水素原子（H）と酸素原子（O）の電子が相互作用することで結合し、水分子として存在しています。
分子は物質の性質を表す最小単位の粒子です。
水の構造は以下の図の通りです。
また、各原子によって電子を引き寄せる力が決まっており、その強さの程度を表した値を電気陰性度と言います。
水素原子（H）の電気陰性度は2.2、酸素原子（O）の電気陰性度は3.44です。
この電気陰性度の違いから、水分子のOは少しマイナスに帯電しています。一方で、水分子のHは少しプラスに帯電しています。
分子内で電荷に隔たりがあることを極性と言います。
水は上記の通り分子内で電荷に隔たりがあるため、極性分子に分類されます。
化粧品に配合されている保湿成分も極性分子であり、特に水(H2O)と水素結合する（-OH基）を持っているため保湿効果があります。
化粧品に配合されている保湿成分
セラミド
皮膚の水分量は基本的に皮脂、NMF（天然保湿因子）、細胞間脂質によって一定に保たれていますが、皮膚の水分量の約８０％はセラミドなどの細胞間脂質が維持しています。
セラミドの分子構造
セラミドは極性分子であり、水(H2O)と水素結合する親水基（-OH基）と油と結合する親油基を持っています。
このセラミドの親水基（-OH基）が水を挟み込むことで肌の水分が維持されています。
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ヒアルロン酸Na
ヒアルロン酸Naの分子構造
ヒアルロン酸は皮膚の真皮に存在する成分です。
ヒアルロン酸Naは極性分子であり、水(H2O)と水素結合する（-OH基）を多く持っているため高い保湿効果があります。
NMF（天然保湿因子）
NMF（天然保湿因子）は皮膚の水分量の約１７～１８％を維持しています。
PCA（ピロリドンカルボン酸）の分子構造
PCA（ピロリドンカルボン酸）はNMF（天然保湿因子）の１２％を占める成分です。
PCAは極性分子であり、水(H2O)と水素結合する（-OH基）を持っているため保湿効果があります。
乳酸Naの分子構造
乳酸NaはNMF（天然保湿因子）の１１％を占める成分です。
乳酸Naは極性分子であり、水(H2O)と水素結合する（-OH基）を持っているため保湿効果があります。
グリセリン
グリセリンの分子構造
グリセリンは極性分子であり、水(H2O)と水素結合する（-OH基）を3つ持っているため保湿効果があります。
BG（ブチレングリコール）
BG（ブチレングリコール）の分子構造
BG（ブチレングリコール）は極性分子であり、水(H2O)と水素結合する（-OH基）を2つ持っているため保湿効果があります。
DPG（ジプロピレングリコール）
DPG（ジプロピレングリコール）の分子構造
DPG（ジプロピレングリコール）は極性分子であり、水(H2O)と水素結合する（-OH基）を2つ持っているため保湿効果があります。
グリセリン、BG、DPGは化粧品の保湿剤としてよく配合されていますが、構造上、水（H2O）と水素結合する（-OH基）が多い物質の方が水分を蒸発しにくくすると考えられます。
そのため、この3つの中で一番多く（-OH基）を持っているグリセリンが最も保湿効果の高い保湿成分だと考えられます。
