シャンプーとトリートメントにはそれぞれの役割に適した性質を持つ界面活性剤が使われています。今回はシャンプーとトリートメントの原理と役割の違いについて書いていきます。
シャンプーの原理と役割
シャンプーは皮脂などの水では落ちない頭皮の油汚れを落とすことを目的として使用されます。
シャンプーの仕組みと洗浄力についてという記事で詳しく書いてますが、シャンプーで油汚れを落とす仕組みには水と油の性質を持つアニオン界面活性剤が使われています。
アニオン界面活性剤は水に溶けた時に親水基がマイナスにイオン化する界面活性剤です。
親水基は水とくっつく性質、親油基は油とくっつく性質を持っています。
アニオン界面活性剤の親油基が油汚れとくっつき、そこにシャワーで水をかけるとアニオン界面活性剤の親水基が水とくっついて油汚れが落ちる仕組みになっています。
アニオン界面活性剤の特徴として洗浄力が優れている点があげられます。
ではなぜアニオン界面活性剤は洗浄力が優れているのかというと、水分子の極性が関係しているのではないかと考えられます。
上の図を見てもらうとわかると思いますが、水分子のOは少しマイナスに帯電しています。一方で、水分子のHは少しプラスに帯電しています。
アニオン界面活性剤の親水基は水に溶けるとマイナスにイオン化するので水分子の少しプラスに帯電したHの部分と引き合います。
そのため、アニオン界面活性剤は洗浄力が優れているのだと考えられます。
トリートメントの原理と役割
トリートメントは髪を補修することを目的として使用されます。
髪はキューティクル、コルテックス、メデュラの3層からできています。
髪の最も外側であるキューティクルの表面は18-MEA(18-メチルエイコサン酸)と呼ばれる脂質で覆われています。
18-MEAは髪の疎水化と髪を摩擦から保護する役割があります。
ダメージを受け18-MEAが失われると髪はマイナスに帯電し、親水化することで傷みに繋がります。
トリートメントには水に溶けると親水基がプラスにイオン化するカチオン界面活性剤が配合されており、マイナスに帯電した髪にプラスに帯電したトリートメントが吸着することで髪を補修することができます。
また、マイナスに帯電した髪にプラスに帯電したトリートメントを使うことで静電気を防止することができます。
シャンプーは頭皮の油汚れを落とすのが目的であり、トリートメントは髪を補修したりコーティングするのが目的です。
シャンプーは髪にだけ使うのではなく頭皮に使用することで油汚れを効果的に落とせると考えられます。
一方で、トリートメントは髪を補修したりコーティングする成分が入っているため、頭皮ではなく髪につけることで目的とした効果が得られると考えられます。