界面活性剤は危険であるという話を聞いたことがあると思いますが、界面活性剤にも種類があり、それぞれ危険度が異なっています。
界面活性剤の種類と危険性
アニオン界面活性剤
アニオン界面活性剤は水に溶けた時に親水基がマイナスにイオン化する界面活性剤です。
アニオン界面活性剤が危険と言われている理由として静電気が挙げられます。
シャンプーに含まれているアニオン界面活性剤によって髪がマイナスに帯電し、静電気が生じることで刺激の原因となります。シャンプー後に髪がパサパサになるのは静電気が理由です。
カチオン界面活性剤
カチオン界面活性剤は水に溶けると親水基がプラスにイオン化する界面活性剤です。
カチオン界面活性剤が危険と言われている理由として細胞を破壊してしまう可能性があることが挙げられます。
表皮は表皮細胞が積み重なってできています。
つまり皮膚は細胞でできており、細胞の細胞膜はリン脂質によって構成されています。
リン脂質のリン酸基はマイナスに帯電しており、カチオン界面活性剤がリン脂質のリン酸基に吸着すると細胞膜を破壊してしまう可能性があります。
両性界面活性剤
両性界面活性剤は酸性条件下では親水基がプラスにイオン化、中性付近では親水基がイオン化しない、アルカリ性条件下では親水基がマイナスにイオン化する性質を持つ界面活性剤です。
そのため、酸性条件下ではカチオン界面活性剤の性質、中性付近では非イオン界面活性剤の性質、アルカリ性条件下ではアニオン界面活性剤の性質を持ちます。
両性界面活性剤は一般的に刺激性が弱いとされています。その理由として、中性付近では親水基がイオン化しないため、アニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤のように刺激の原因とならないことが挙げられます。
一方で酸性条件下やアルカリ性条件下ではカチオン界面活性剤やアニオン界面活性剤の性質を持ちますので刺激になる可能性はあります。
非イオン界面活性剤
非イオン界面活性剤は水に溶けても親水基がイオン化しない界面活性剤です。
非イオン界面活性剤は刺激性が弱いとされています。その理由として、親水基がイオン化しないためタンパク質変性を起こしにくいことが挙げられます。
タンパク質は複数のアミノ酸が水素結合やイオン結合によってつながったものであり、その立体構造によって特定の性質を持ちます。
イオン化する界面活性剤はタンパク質の結合を切断し、タンパク質の立体構造を変性させてしまうため、立体構造が変性したことによりタンパク質の性質が変わってしまい刺激の原因となります。
これらのことから、界面活性剤の刺激性はイオン界面活性剤>非イオン界面活性剤であると考えられます。
イオン界面活性剤の刺激性はカチオン界面活性剤>アニオン界面活性剤>両性界面活性剤であると考えられます。