病気になった際、薬を使ったことがあると思いますが薬が効くしくみについて知らない人は少なくないと思います。薬には主作用の他に副作用がある場合があり、薬が効くしくみについて知ることで副作用が起こる理由がわかるのではないでしょうか。
情報伝達と薬
私たちの体は情報伝達物質によって情報伝達がなされ生命が維持されています。情報伝達物質は受容体と呼ばれる情報を受け取り伝える役割を持つタンパク質と結合することで体に指令を出すことができます。
情報伝達物質と受容体には様々な形があり、情報伝達物質と受容体の形が合わないと体に指令を出すことができません。
薬は情報伝達物質と似た形の物質であり、情報伝達物質の代わりに受容体と結合して体に指令を出すことで病気を治療したり、逆に情報伝達物質と受容体が結合するのを阻害し体に対する指令を止めることで病気を治療することができます。
薬の名前を知っている人は多いと思いますが、薬は名前よりどのような化学構造であるかということが重要だと考えられます。
作用薬と阻害薬
薬にはおもに作用薬と阻害薬があり、作用薬は情報伝達物質の代わりに受容体と結合し体に指令を出す薬、阻害薬は情報伝達物質の代わりに受容体と結合し、情報伝達物質が過剰に受容体と結合し体に指令を出すのを防ぐ薬です。
作用薬としてβ2刺激薬などが挙げられます。β2刺激薬はぜんそくの治療薬として使われます。
ぜんそくは炎症により気道が狭くなることで起こる症状であり、β2刺激薬によって気管支を広げる指令を出し症状を緩和します。
阻害薬として抗ヒスタミン薬などが挙げられます。
花粉症は花粉に対する免疫機能によりヒスタミンなどの情報伝達物質大量に放出されることで起こります。
そのため、抗ヒスタミン薬がヒスタミンの代わりに受容体と結合しヒスタミンの結合を阻害することで花粉症を抑えることができます。
薬は血液によって全身を巡るため、本来結合してほしい受容体以外の受容体と結合してしまう場合に副作用が起こります。
ヒスタミンは花粉症を引き起こす原因である一方で、脳内では眠気を抑え覚醒を促す作用があり、抗ヒスタミン薬によってヒスタミンによる覚醒が抑制されると眠気などの副作用が起こります。
薬が効く仕組みを理解することで薬による副作用を防ぐことができるのではないでしょうか。