香水の香りの正体は化学物質です。化学物質の構造が違うことで異なる香りが生じています。今回は香水の香りの正体について書いていきます。
香水の香りの正体
香水の香りの正体は化学物質です。
香りが生じる化学物質は炭素(C)と水素(H)が複数結合したイソプレン(C5H8)やベンゼン(C6H6)によって構成されています。
香り成分の構造式と見るとそれぞれ構造が違っているのですが、どの成分もイソプレン(C5H8)かベンゼン(C6H6)を含んでいます。
このイソプレン(C3H8)とベンゼン(C6H6)が香りの正体です。
イソプレン(C5H8)とベンゼン(C6H6)の構造は以下の通りです。
また、イソプレン(C5H8)が複数集まってできた化学物質をテルペノイド、ベンゼン(C6H6)を含む化学物質を芳香族化合物と言います。
テルペノイド
イソプレン(C5H8)が複数集まってできた化学物質をテルペノイドと言います。
イソプレン(C5H8)が2個結合したものをモノテルペン、イソプレン(C5H8)が3個結合したものをセスキテルペン、イソプレン(C5H8)が4個結合したものをジテルペンと言います。
香水の香りが変わる原理という記事で詳しく書いていますが、香りは化学物質が液体から気体に揮発することで感じられます。
また、化学物質よって揮発性が違うため、香水は経過時間によって異なる香りがします。
モノテルペン炭化水素類
イソプレン(C5H8)が2個結合したものがモノテルペン炭化水素類(C10H16)です。
モノテルペン炭化水素類は分子量が小さく揮発性が高い(気体になりやすい)ため香水では最初の10~30分程度香るトップノートとして使用されています。
モノテルペン炭化水素類は柑橘の果皮や針葉樹の精油に多く含まれており、抗菌、抗ウイルス、抗炎症、抗ストレス、血流促進作用などが期待できます。
モノテルペン炭化水素類を多く含む精油はパイン、オレンジ、グレープフルーツ、サイプレス、ジュニパー、ティーツリー、ヒノキ、ブラックペッパー、フランキンセンス、ベルガモット、マージョラム、マンダリン、ユズ、レモン、ローズマリーです。
モノテルペン炭化水素類の代表的な化学物質としてリモネン(C10H16)が挙げられます。
リモネンは柑橘系の香りがする化学物質です。
セスキテルペン炭化水素類
イソプレン(C5H8)が3個結合したものがセスキテルペン炭化水素類(C15H24)です。
セスキテルペン炭化水素類はモノテルペン炭化水素類より分子量が大きく、揮発性が低いため香水ではミドルノートやラストノート(ベースノート)として使用されています。
セスキテルペン炭化水素類は香りが強く、強壮作用、鎮静作用が期待できます。
モノテルペン炭化水素類を多く含む精油はカモミール・ジャーマン、シダーウッド・アトラス、パチュリー、イランイラン、フランキンセンス、ミルラ、ジンジャー、ヒノキです。
セスキテルペン炭化水素類の代表的な化学物質としてα-ファルネセン(C15H24)が挙げられます。
α-ファルネセンは青りんごの香りがする化学物質です。
官能基による香りの分類
イソプレン(C5H8)やベンゼン環(C6H6)に官能基と呼ばれる特定の性質を与える化合物が結合することでさらにたくさんの香りが存在しています。
官能基としてヒドロキシ基(-OH)、アルデヒド基(-CHO)、カルボニル基(-CO-)、エステル(-COO-)、エーテル(-O-)などが挙げられます。
ヒドロキシ基(-OH)を含む香り成分
モノテルペンアルコール類
モノテルペンアルコール類はモノテルペン炭化水素類(C10H16)にヒドロキシ基(-OH)が結合した化学物質です。
モノテルペンアルコール類は免疫調整、抗菌、神経強壮作用が期待できます。
モノテルペンアルコール類を多く含む精油はゼラニウム、マジョラム、ティートリー、ローズウッド、ラベンダーです。
モノテルペンアルコール類の代表的な化学物質としてゲラニオール(C10H18O)が挙げられます。
ゲラニオールは甘いローズ調の香りがする化学物質です。
セスキテルペンアルコール類
セスキテルペンアルコール類はセスキテルペン炭化水素類(C15H24)にヒドロキシ基(-OH)が結合した化学物質です。
セスキテルペンアルコール類は血流促進、強壮作用が期待できます。
セスキテルペンアルコール類を多く含む精油はサンダルウッド、サイプレス、パチュリーです。
セスキテルペンアルコール類の代表的な化学物質としてサンタロール(C15H24O)が挙げられます。
サンタロールはウッディー調の香りがする化学物質です。
ジテルペンアルコール類
ジテルペンアルコール類はジテルペン炭化水素類(C20H32)にヒドロキシ基(-OH)が結合した化学物質です。
ジテルペンアルコール類はエストロゲン様作用、強壮作用が期待できます。
ジテルペンアルコール類を多く含む精油はクラリセージです。
ジテルペンアルコール類の代表的な化学物質としてスクラレオール(C20H36O2)が挙げられます。
スクラレオールは甘い香りの香りがする化学物質です。
フェノール類
フェノール類はベンゼン(C6H6)にヒドロキシ基(-OH)が結合した化学物質です。
フェノール類は抗菌、抗ウイルス、免疫刺激、強壮作用が期待できます。
フェノール類を多く含む精油はクローブ、チモールです。
フェノール類の代表的な化学物質としてオイゲノール(C10H12O2)が挙げられます。
オイゲノールはスパイシーな香りがする化学物質です。
アルデヒド基(-CHO)を含む香り成分
アルデヒド類
アルデヒド類はテルペノイドにアルデヒド基(-CHO)が結合した化学物質です。
アルデヒド類は抗炎症、鎮静、鎮痛、抗真菌、消化促進、消臭作用が期待できます。
アルデヒド類を多く含む精油はレモングラス、ユーカリ、レモンです。
アルデヒド類の代表的な化学物質としてシトロネラール(C10H18O)が挙げられます。
シトロネラールはレモンのような香りがする化学物質です。
芳香族アルデヒド
芳香族アルデヒドはベンゼン(C6H6)にアルデヒド基(-CHO)が結合した化学物質です。
芳香族アルデヒドは抗菌、抗ウイルス、身体保温、強壮作用が期待できます。
芳香族アルデヒドを多く含む精油はシナモンです。
芳香族アルデヒドの代表的な化学物質としてシンナムアルデヒド(C9H8O)が挙げられます。
シンナムアルデヒドはシナモンの香りがする化学物質です。
カルボニル基(-CO-)を含む香り成分
ケトン類
ケトン類はテルペノイドにカルボニル基(-CO-)が結合した化学物質です。
ケトン類は粘液溶解、去痰、免疫調整、脂肪溶解作用が期待できます。
ケトン類を多く含む精油はペパーミント、ローズマリーです。
ケトン類の代表的な化学物質としてカンファー(C10H16O)が挙げられます。
カンファーはグリーン調の爽やかな香りがする化学物質です。
エステル(-COO-)を含む香り成分
エステル類
エステル類はテルペノイドにエステル(-COO-)結合を含む化学物質です。
エステル類は鎮静、鎮痛、抗炎症、血圧降下、鎮痙攣作用、抗真菌、抗ウィルス作用が期待できます。
エステル類を多く含む精油はカモマイル・ローマン、イランイラン、プチグレンが挙げられます。
エステル類の代表的な化学物質として酢酸リナリル(C12H20O2)が挙げられます。
酢酸リナリルは甘いフルーティーな香りがする化学物質です。
ラクトン類
ラクトン類はエステル結合(-COO-)を含む環状の化学物質です。
ラクトン類は血圧降下、鎮静、精神高揚、抗真菌、抗ウィルス作用が期待できます。
ラクトン類を多く含む精油はベルガモットです。
ラクトン類の代表的な化学物質としてクマリン(C9H6O2)が挙げられます。
クマリンはバニラに似た香りがする化学物質です。
エーテル(-O-)を含む香り成分
オキサイド類
オキサイド類はエーテル結合(-O-)を含む環状の化学物質です。
オキサイド類は抗カタル(喉や鼻の炎症抑制)、去痰、免疫調整、抗菌作用、抗ウイルス作用が期待できます。
オキサイド類を多く含む精油はユーカリ、ゼラニウム、ローズマリー、ティートリー、ペパーミントです。
オキサイド類の代表的な化学物質として1,8-シネオール(C10H18O)が挙げられます。
1,8-シネオールは清涼感のあるハーブ調の香りがする化学物質です。
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