風邪を引いたときに病院に行って薬をもらったりすると思いますが、実際は風邪に対する治療薬は無いため、風邪による諸症状を緩和する薬を処方してもらっています。
風邪の治療薬がない理由
風邪の原因の9割はウイルス感染によるもので、風邪を引き起こすウイルスは200種類以上存在するため、特定のウイルスに対する風邪の治療薬をつくることは困難であるそうです。
風邪は薬によって治るわけではなく、自身の免疫力によって治るものだと考えられます。
風邪は喉や鼻などの上気道が炎症を起こす病気であり、風邪の諸症状はウイルスを治すために起こっています。
発熱は体に侵入したウイルスなどを免疫細胞である白血球が駆除している防衛反応の一種です。また、咳は体内に異物が侵入するのを防ぐ防衛反応です。
のどの痛みはウイルスなどが気管や肺に侵入するのを防ぐ役割を持つ扁桃腺がウイルスとの戦いで免疫力の低下などの理由により対抗出来なくなった時に起こる炎症です。
一方で、発熱や咳が長時間続くと体力の消耗に繋がるため、風邪の薬はこれらの諸症状を緩和するために処方されます。
市販の風邪薬は発熱や咳などに効く数種類の薬が複合した総合感冒薬です。
抗生物質はウイルス性の風邪には効かない
抗生物質は細菌に対する薬であり、原因の9割がウイルスである風邪には効果がないと考えられます。
細菌は一つの細胞からなる単細胞生物で、抗生物質であるペニシリンは細菌の細胞壁が作られるのを阻害する作用があり、細胞壁無いと細菌は死滅します。
人の細胞には細胞壁が存在しないため、細菌にのみ攻撃することができます。
一方で、ウイルスには細胞が無く、宿主の細胞を乗っ取り増殖し破裂することでウイルスがばらまかれます。
ウイルスは細菌と構造や増殖の仕組みが異なるため、細菌を死滅させる抗生物質はウイルスには効きません。
ウイルス治療薬は人の細胞が増殖する仕組みを標的とする必要があり、人体にも影響が出る可能性が高くなります。宿主を生きたままウイルスの増殖を防ぐことが難しいため、ウイルスに対する風邪の治療薬をつくることは困難であるそうです。