日々の生活の中でミネラルという言葉を聞くことは多いのではないでしょうか。
一方で、ミネラルとは何なのか、どうしたらミネラルをうまく摂取できるのかということについて知っている人は少ないのではないかと思われます。
そこで、ミネラルとは何かということ、さらに、ミネラルの種類や役割、ミネラルを効率良く摂取する方法について話していきたいと思います。
ミネラルとは
生体を構成したり、機能に必要な元素のことを必須元素といい、その中でも炭素、水素、酸素、窒素以外の必須元素のことミネラルと言います。
また、必須元素のうち、一日の必要摂取量が多いものを多量元素、一日の必要摂取量が100 mg以下の元素を微量元素といいます。
ミネラルの種類
生体に存在するミネラルの量は体重の約4%であり、そのほとんどを多量元素であるカルシウム、リン、カリウム、硫黄、ナトリウム、塩素、マグネシウムが占めています。
一方で、生体にとって必須な微量元素は鉄、亜鉛、銅、クロム、ヨウ素、コバルト、セレン、マンガン、モリブデン、フッ素、ニッケル、ケイ素、スズ、バナジウム、ヒ素などです。
また、生体にとって必須である元素とは、欠乏症状が認められ投与によりその症状から回復またはそれを予防できるもののことを指します。
ミネラルの役割
ミネラルの主な役割は生体構成成分、恒常性の維持、生理活性物質の構成成分と生体反応の活性化の三つに大別されます。
生体構成成分
骨や歯を構成する成分となり硬さ、強さ、耐久性を与えます。カルシウムやリンがこれらの役割を担います。
恒常性の維持
恒常性とは生体が様々な環境の変化に対応し、内部状態を一定に保つ生体機能のことであり、恒常性が維持されることによって我々は様々な環境で生きていくことができます。
そして、ミネラルは細胞内外の液中でイオンの形で存在し、体液pHの恒常性の維持、浸透圧の調節、筋肉機能の維持、神経機能の維持、免疫機能の維持などを行っています。ナトリウム、塩素、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどがこれらの役割を担っています。
生理活性物質の構成成分、生体反応の活性化
生理活性物質とは種々の生体反応を制御する化学物質のことです。
酵素や生理活性物質の構成成分としては、カタラーゼ中の鉄、セルロプラスミン中の銅、甲状腺ホルモン中のヨウ素、ビタミンB12中のコバルトなどが挙げられます。
また、酵素反応を活性化するものとしてカルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガンなどがあります。
他にも、物質輸送・分泌に関与するものとしてカルシウムがあり、また、生体分子に結合して特殊な機能を果たすものとしては、タンパク質中の硫黄、核酸やレシチン中のリン、ヘモグロビン中の鉄などがあります。
ミネラルを効率良く摂取する方法
ミネラルは微量ながら生体に必要不可欠な元素です。
しかし、栄養素の中でも吸収効率、吸収後の利用率が非常に悪く、中でもカルシウムや鉄などは不足しやすい傾向にあります。
そして、食事によって摂取されるミネラルは一般的に、食事成分によって吸収阻害されるため吸収されにくくなります。
そのため、ミネラルを効率良く摂取するにはミネラルの吸収を助けるミネラル吸収促進物質を摂取することが重要であると考えられます。
そして、ミネラルの吸収促進物質としてカゼインホスフォペプチド(CPP)が挙げられます。
カゼインホスフォペプチドはカゼインと呼ばれる牛乳に含まれるタンパク質が膵臓で分泌されるトリプシンによって分解されることで生じる物質です。
カゼインホスフォペプチドにはカルシウム、鉄の吸収を促進させる働きがあります。
カルシウムや鉄などのミネラルは食物に含まれる食物繊維やフィチン酸などの成分に結合すると吸収されず利用できなくなりますが、カゼインホスフォペプチドは溶解したカルシウムなどのミネラルにあらかじめ結合し、可溶化することによって、食物繊維などの成分がカルシウムと結合して吸収阻害されるのを防ぐため、体内への吸収を促進します。
カゼインホスフォペプチドを摂取し、カルシウム吸収率を高めることはカルシウム不足によって起こる骨粗鬆症などの予防にもなります。
カゼインホスフォペプチドを多く含む食品として、牛乳、ヨーグルト、チーズなどがあります。